ヤマブシタケとは?
ヤマブシタケとは、学名Hericium erinaceum。ヤマブシタケは、サンゴハリタケ科のキノコで、日本、中国、欧米、北アフリカと広範囲に分布。クヌギ、クルミ、シイ、ミズナラなどの広葉樹の樹幹や切り株に着生します。その姿は、白いウサギがうずくまっているように見えることから、日本国内でも地方名で「ウサギタケ」と呼ばれたり、または「ハリセンボン」とも呼ばれています。若いヤマブシタケほど色が白く、成長が進むにつれ薄いベージュ色に変化します。
ヤマブシタケの効能
免疫力増強作用
ヤマブシタケに認められる抗腫瘍活性多糖体(例えばβグルカン)のように、身体の免疫機能に働きかけ強化してくれる物質(BRM)は、ほとんどのキノコに含まれる物質ですが、アガリクスと、ヤマブシタケの2つには特に飛び抜けて多く含むまれています。
しかも、ただ免疫力を高めるのではなく、免疫機能の低いものは高くし、高すぎるものを抑制するという優れた働きがあります。これは生体恒常効果(ホメオスタシス)と呼ばれるもので、免疫反応が過敏であるために起こるアレルギー症状にも効果が期待できます。
活性酸素除去作用
ヤマブシタケは、全食品のなかでも活性酸素を除去する力はトップクラスといえます。
私たちの体内は、過剰に増えた活性酸素を除去し無毒化するSODという酵素をもっていますが、これは加齢によりどんどん減少してしまいます。加えて最近は、食品や環境、ストレスなどにより活性酸素が過剰に発生してしまう傾向があり、SODは不足しがちになりやすくなっています。
残念なことに、SODは今のところ人工的につくることができません。しかし、それに限りなく近いSOD様(よう)といったものはできています。ヤマブシタケのSOD様の値は6800という高単位で、これは全食品のなかでも飛び抜けて高い数値です。
認知症状改善作用
認知症や脳の機能に対する作用は、他のキノコにはみられないヤマブシタケならではの効能といえます。
ヤマブシタケにはヘリセノンとエリナシンという物質が含まれています。抗認知症効果が期待できるのはこの物質にカギがあります。キノコの種類は数あれど、現在この物質が発見されたのはヤマブシタケだけです。極めて希少な効能といえましょう。
神経細胞のことを専門的にはニューロンとよんでいますが、このニューロンの働きを活性化させる神経細胞成長因子NGF(生合成誘導促進物質)と呼んでいます。
NGFは主に人間の脳内の海馬などでつくられる物質で、脳の成長に欠かせないばかりか、人間が生きている限り脳の中で働き続ける非常に重要な物質です。このNGFをアルツハイマー型認知症の患者に注入すると、症状が改善されることわかっています。
ヤマブシタケに含まれるヘリセノンおよびエリナシンという物質はこのNGFの働きを活性化させる作用があることがわかっています。強力なNGF合成促進作用を持っているのです。NGFの働きが強まればニューロンの消失をくい止め、その増殖さえ可能といわれています。
本来、人間の脳の中でNGFの合成促進作用を行っているのはエピネフィリンというホルモンですが、エリナシンはそのエピネフィンの4倍以上ものNGF合成促進作用を示したとの報告があるようです。