医療や介護、年金などの社会保障制度をよくする(??)ことを目指し、政府の「国民会議」がこのほどまとめた報告書に基づいて法案がつくらるそうです。基本的な方針として、今までのような年齢による区切りをやめ、高所得者には負担増を求め、低所得者の負担は軽減するという内容なのですが、何が変わり、どんな課題があるのでしょうか。
まず医療分野も無関係ではないので、ごく簡単に解説します。
70〜74歳の窓口負担が増加
現状では1割に据え置かれている70〜74才の医療費負担が、新たに70才になる人から順に本則である2割負担に移行することを求めています。(たぶん来年4月から?)
高額療養費制度の所得による負担割合の変更
高度な医療を受けた人の自己負担額を低く抑えるための制度である「高額療養費制度」も変わるようです。どのようにに変わるかというと、高額所得者の負担を増やし低所得者の負担を下げるということになりそうです。
大きな病院にかかりにくくする
軽い病気でも高度な設備を備える大病院を利用する患者が多いためにかさんでいる給付費を減少させるため、紹介状のない患者が大病院を受診した際は定額負担を求めるようなしくみを検討する。
ちょっと見ただけでは、まあ社会保障費抑制のために必要かなと思える内容ですがどうなのでしょう?
それでは、肝心の介護分野はどのように変わっていくのか見てみましょう。
2000年4月から開始した介護保険がいよいよ財政難に落ちいっているようです。以前、介護保険制度の問題点でも言及したように、厚生労働省の制度設計が甘いというか、予測がまた悪い方向に外れたようです。予想より利用者が増えすぎたのだそうです。こりゃマズイとばかりに出てきた社会保障制度改革国民会議(ここで言う国民ってだれなんだろう?)の提言では次のように言っています。
1. 一定以上の所得のある人」の自己負担を引き上げる 2. 要支援者を介護保険から切り離す
なんだそうです。要するに、所得割での負担増(夫婦所得(高齢者含む)が合計で年300万〜400万円程度で現状の1割の自己負担から2割負担への引き上げとなりそう)と、要支援者の介護保険からの切り離し(介護保険ではなく市町村の事業に移管すると言うことのようです。)なんですって。
この提言には、当然ですが様々な反対意見が出ているそうです。
たとえば、「要支援」の高齢者への介護予防サービスが介護保険から切り離され、市町村の事業に移された場合、負担額は市町村が決めるといわれています。そうなると、同じサービスでも全額自己負担とする場合や、従来通り1割負担のままなど、自治体によって対応が分かれる可能性があります。 また、軽度な認知症患者などは、介護保険の対象から外れる可能性が高いとみられています。産経新聞(8/3付)は、「市町村にも熱心な担当者はいるが、一定の基準や制約なく介護保険から外すことは放任に等しい」という「認知症の人と家族の会」(京都市)の高見国生代表理事の声を伝えています。
介護保険の財政が苦しいから一部を切り離して市町村に押しつけようというのでは、ちょっと虫が良すぎませんかねぇ。国の財政が厳しいのはわかるけど、都合の悪い部分の押し付け合いが始まってしまうのでは、年金や健康保険などと同じ道をたどりつつあるようですね。