成年後見制度|手続きの流れと費用

成年後見登記制度とは

成年後見登記制度は、法定後見制度と任意後見制度の利用の内容、成年後見人の権限や任意後見契約の内容などをコンピューターシステムにより法務局で登記して、登記官が登記事項証明書を発行して情報を適正に開示することによって、判断能力の衰えた方との取引の安全を確保するための制度です。以前は戸籍に記載されていましたが、プライバシーの保護や成年後見制度の使い勝手を考慮して成年後見登記制度が新たに作られました。
本人や成年後見人から請求があれば法務局から登記事項証明書が発行され、これを相手方に示すことによって安全で円滑な取引ができることになります。

成年後見制度の手続きの流れ

成年後見制度を利用するには本人の住所地の家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
申し立ての必要な書類と費用はおよそ以下のとおりですが、事案によって多少異なりますので詳しくは管轄の家庭裁判所に聞いてみるのがよいでしょう。
ここでは、家庭裁判所に成年後見の申し立てをした後の手続きの流れを簡単に解説します。
? なお、申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、およそ 3~6ヶ月程度の時間がかかる事が多いようです。

1 家庭裁判所への申し立て

必要な書類

成年後見制度を利用するには本人の住所地の家庭裁判所に申し立てをする必要があります。申し立ての必要な書類と費用はおよそ以下のとおりですが、事案によって多少異なりますので詳しくは管轄の家庭裁判所に聞いてみるのがよいでしょう。

  • 申立書(定型の書式が家庭裁判所に行けば無料でもらえます)
  • 申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
  • 本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
  • 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通 (候補者がいる場合)
    • 登記事項証明書は、東京法務局が発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです
    • 身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書のことです
  • 申立書付票
  • 本人に関する報告書(用意できれば)
2 家庭裁判所の調査官による事実の調査

申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます

3 精神鑑定 ※鑑定費用は5〜15万円

家庭裁判所は、後見(保佐)開始の審判をするためには、明らかにその必要がないと認められる場合を除いて、本人の精神状況について医師その他適当な者に鑑定をさせます。なお、補助開始の審判では原則的に診断書で足りますが、判断能力の判定が困難な場合は鑑定が行われることがあります

4 審 判

申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります

5 審判の告知と通知

裁判所から審判書謄本をもらいます

6 法定後見開始 ※東京法務局にその旨が登記されます

申立にかかる費用

国の制度としての後見制度ですが、その申立には少なからぬ費用がかかります。致し方のないところです。

(1)収入印紙

後見開始の申立て 800円
保佐開始の申立て 800円
保佐開始の申立て + 同意権追加付与の申立て 1,600円
保佐開始の申立て + 代理権付与の申立て 1,600円
保佐開始の申立て + 同意権追加付与の申立て + 代理権付与の申立て 2,400円
補助開始の申立て + 同意権追加付与の申立て 1,600円
補助開始の申立て + 代理権付与の申立て 1,600円
補助開始の申立て + 同意権追加付与の申立て + 代理権付与の申立て 2,400円

(2)切手

各裁判所によって異なりますが、およそ3,000〜5,000円程度です。

(3)登記費用

成年後見制度では、その結果を登記する必要があります。そのための費用として登記印紙4,000 円分が必要となります。
※収入印紙とは異なりますのでご注意ください。

(4)鑑定費用

成年後見制度を利用する場合は、明らかにその必要がないと認められる場合を除いて、本人の精神の状況について医師その他適当な者に鑑定をしてもらう必要があります。鑑定費用の額は事案にもよりますがおよそ5〜15万 円程度です。

登記とは

登記(とうき)とは、法に定められた一定の事柄を帳簿や台帳に記載することをいう。
一般には権利関係などを公示するため法務局(登記所)に備える登記簿に記載すること、又は、その記載をいう。そのほかには会計法などの規定に基づいて行われる国などの会計帳簿(現金出納簿など)への登記がある。
不動産登記、商業登記、船舶登記、法人登記、成年後見登記、債権譲渡登記、動産譲渡登記などの種類があるが、単に登記というときは、不動産登記を指すことが多い。

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