任意後見制度
任意後見制度は、本人が判断能力を有しているうちに、将来自己の判断能力が不十分になった場合の後見事務の内容と任意後見人を前もって契約して決めておく制度です。
この契約は、公証人役場で公正証書を作成することになります。
任意後見制度の流れ
※2の任意後見人は1人でなくてはならないわけではなく、複数人でも問題ありません。
※3の家庭裁判所に申し立てる場に、申し立てができる者は以下のような人達です。
- 支援を望む本人
- 本人の配偶者
- 本人の4親等内の親族
- 本人の任意後見人(任意後見受任者と呼びます)
任意後見制度は、任意後見人を誰にするか、後見事務の委任内容をどこまで行うかなどは話し合いで自由に決めることができますが、
結婚・離婚・養子縁組など一身専属的な権利
は任意後見契約に含めることはできません。
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任意後見制度にかかる費用
任意後見契約は公証役場で公正証書を作成する必要があります。
公正証書の作成費用は以下のようになります。
- 公証役場の手数料
1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。 - 法務局に納める印紙代
2,600円 - 法務局への登記嘱託料
1,400円 - 書留郵便料
約540円 - 正本謄本の作成手数料
1枚250円×枚数
任意後見制度のメリット・デメリット
任意後見制度のメリット・デメリットについては、以下のようなものがあります。
任意後見制度のメリット
- 後見人を自由に選ぶことができる
任意後見制度では、被支援者の判断力が低下する前に自ら任意後見人を選ぶことができます。また任意後見人になるために特別な資格が必要なわけではないので、親族や友人、専門職(行政書士・弁護士など)など被支援者が信頼を置ける人物を自由に選ぶことができる。 - あらかじめ任意後見契約で要望する事項を定めておくことで、判断能力が減退した場合でも、本人が希望する生活を送ることができる。
被支援者の判断能力が低下する前に、任意後見人に要望する委任内容を定めておくことができるので、被支援者の希望に添ったサポートを受けることができます。 - 家庭裁判所で任意後見監督人が選出されるので、任意後見人の仕事ぶりをチェックできる
任意後見制度を利用する場合、家庭裁判所により後見監督人が選任されるので、任意後見人の後見事務を監督することができます。 - 法定後見制度のように今現在本人に判断能力の低下がなくても利用できる
- 不利益になる契約を締結してしまうリスクがなくなる
- 契約内容が登記されるので任意後見人の地位が公的に証明される
任意後見制度のデメリット
- 死後の事務や財産管理をを委任することが出来ない
任意後見制度は被支援者の死亡により終了してしまうため、被支援者がひとり暮らしで縁故者がいない場合でも、葬儀・埋葬・財産の管理・処分などをおこなうことができません。 - 法定後見制度のような取消権がない
取消権とは、被支援者が判断能力を持っていないのにもかかわらず、任意後見人が立ち会わずに不利な契約をしてしまった場合に、その契約を取り消すことができる権利である取消権がありません。 - 任意後見人受任者が同居の親族でないような場合には、本人の診断能力が減退したかどうかの把握が不十分になる可能性がある
任意後見制度は、被支援者の判断能力が衰えた時点で開始されますが、被支援者の判断力が衰えたかどうかを判断しかねる場合がある。 - 財産管理委任契約に比べ、迅速性に欠ける
- 本人の判断能力の低下前に契約は出来るが、実際に管理は出来ない
- 任意後見人と任意後見監督人の報酬がかかる