認知症とは
脳は、私たちの身体活動及び精神活動のほとんどをコントロールしている、いわば司令塔ともいえる重要器官です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなるのは当然のことです。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。
認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー型小体病などがこの「変性疾患」にあたります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
この「アルツハイマー型認知症」と『脳血管性認知症」が認知症の多くを占めているのが現状です。
痴呆から認知症へ
認知症は、以前は「痴呆」と呼ばれるのが一般的でしたし、浸透していました。しかし、この「痴呆」という名称が差別的印象を与えるという問題提起を受けたことから、厚生労働省が中心となり検討を重ねた結果、2004年12月24日、厚生労働省(以下厚労省)は「痴呆」の名称を「認知症」と改めることを決定しました。以後、行政機関や医療機関においても徐々に名称変更が進み、現在では「認知症」という名称がが一般にも浸透ししているようです。
ちなみに、痴呆という名称が差別的であるとされたのは、「痴」「呆」ともに「愚か」「馬鹿」という意味を持つ漢字だからだそうです。
もっと以前の江戸時代では、「痴呆」は「耄碌」(もうろく)・「老碌」(ろうろく)と呼ばれて一種の老化に伴う一時的な現象と捉えられて、余程深刻な症状でなければ医師が関与する事も無く、社会でも柔軟に受け止められていたようです。当時においてはその介護は専ら家族によって任されていたが(介護保険制度などないですからね)、祖先の霊が家を守っていると信じられていた当時においては、介護に尽くすことで高齢者が死後に祖先の霊として新たに加わって家を加護してくれる事で家族もまた報われると信じられていた節もあり、親への孝行を重視された儒教思想も加味されて、介護を負担としてのみで捉えてはいなかったようです。(ここはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋いたしました。)