日本は世界でもまれな未曾有の超高齢化社会に突入しています。その高齢化社会で欠くことのできない制度、もうおわかりですね。介護保険制度です。その介護保険制度のスムーズな運用を可能にするために重要な役割を果たしているのが「ケアマネージャー」の資格。
このケアマネージャー、医療・福祉・保健の仕事に5年または10年以上携わっている人しか取れないため、介護分野のキャリアアップ資格として非常に高い評価が与えられています。
欠かせない資格「ケアマネージャー」
居宅介護支援事業所などでは、ケアマネージャーの有資格者を一定人数置くことが義務づけられているため重要視される資格であり、介護施設や有料老人ホーム、グループホームでも、非常にニーズの高い資格です。
ケアマネージャーの有資格者は、経験と知識を持った即戦力の人材として、就職や転職時の自分自身のアピールに、また結婚・出産後の再就職の際にも役立つ資格であることは間違いありません。年齢を気にせず長く安定して働ける魅力ある資格として、今後も人気が衰えることは無いでしょう。
ケアマネージャーの仕事
ケアマネージャーという言葉はよく聞くことがあるかもしれません。でも、介護保険を利用したことが無い方は、いったい「ケアマネージャー」がどういった役割を担っているのかわからないのではないでしょうか。ますはじめに、ケアマネージャーがどのような業務を行っているのかを解説します。
ケアマネージャーの仕事は、大きく5つに分けることができます。
要介護者の課題分析と必要な介護の把握
要介護者が、従来通りの生活を行っていくために必要な介護を見極めていきます。要介護者が、今何ができて何ができないのか、その原因を掴むことは非常に重要な作業となります。ケアマネジャーは、要介護者本人やその家族から、今までの生活や家族との代わりなどを確認しながら、今後の生活を一緒に考えます。このステップを踏むことで、初めてケアプランの作成に着手することができます。
ケアプラン(介護サービス計画)の作成
どういう介護サービスをどの程度利用するかを決めたケアプラン(計画書)を作成します。介護保険により、1カ月に利用できるサービスの上限額が要介護度別に決まっているので、要介護者の心身の状態や家族の事情を最大限考慮しつつケアプランを作成することになります。
サービス担当者会議の運営
サービス担当者会議とは、要介護者本人のよりよい生活を実現するために、どのような目標を立て、支援をしたらよいのかを話し合うため、本人、家族、サービス担当者が集まって行う会議のことをいいます。この会議は、初めてケアプランを作成するときや要介護度が変更になるとき、要介護の更新認定を受けたとき、その他にも必要に応じて随時開催されます。
ケアプランの継続的な管理と再評価
既存のケアプランが要介護者に必要な介護内容を反映しているか、要介護者の心身の状況や家族の事情などを勘案し、変更・改善すべきところがないか常にチェックしていきます。
介護支援サービスの記録
毎月の訪問記録や本人の経過記録、サービス事業者との話し合いの内容、サービス担当者会議などでの決定事項などを記録として残すことも、ケアマネジャーの大切な役割です。
ケアマネージャーの収入
居宅介護支援事業所に勤務しているケアマネージャーの給与は地域によって多少の差があります。東京都が1番高めで、28万円前後、その他の首都圏は、25万円前後という調査結果があります。平均すると、おおむね20万円~30万円前後が多いようです。
ケアマネージャー資格試験
受験資格
ケアマネージャーの資格試験を受験するには実務経験が5年または10年以上必要です。現在お持ちhの資格によっては、試験の解答免除もあります。
介護や保険医療・福祉の分野で実務経験のある方が受験できます。実務経験とは、その職種により異なりますが、5年以上(かつ900日以上従事。国家資格の場合は登録日起算)または10年以上(かつ1800日以上従事)が必要となります。また、規定の国家資格をお持ちの方には、試験範囲の一部が回答免除になります。(表参照)
資格など | 業務や期間 |
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医師・歯科医師・薬剤師・助産師・看護師・准看護師・保健士・介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士 | 保健・医療・福祉に関する資格に関わる実務に5年以上従事 |
施設等において必置とされている相談援助業務*に従事する者など | 相談援助業務を特定の福祉施設・介護施設・障害者施設などで5年以上従事 |
介護職員初任者研修など 社会福祉主事任用資格 |
介護等業務で5年以上、要介護者等の介護や介護者に対する介護に関する指導を行った者 |
無資格 | 介護等業務で10年以上、要介護者等の介護や介護者に対する介護に関する指導を行った者 |
※詳しくは各地域のケアマネージャー試験実施団体にお問合せください。
2018年より受験資格が変更になります
2018年のケアマネージャー試験から介護等業務での実務経験が受験資格から除外されます。受験資格が無くなる可能性がある方は、2017年の試験でケアマネージャー資格を取得しておくのが良いでしょう。
2018年以降の受験資格
資格など | 業務・期間 |
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医師・歯科医師・薬剤師・助産師・看護師・准看護師・保健士・介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士 | 保健・医療・福祉に関する資格に関わる実務に5年以上従事 |
生活相談員 支援相談員 相談支援専門員 主任相談支援員 |
相談援助業務を特定の福祉施設・介護施設・障害者施設などで5年以上従事 |
※詳しくは各地域のケアマネージャー試験実施団体にお問合せください。
試験日
ケアマネージャーになるための試験は、全国共通の日時で、毎年10月の第4日曜日、午前10時~12時に行われることになっています。各都道府県がそれぞれ試験を行いますので、受験の手続きや申込期間などは各都道府県が公表する試験要項に従っていただくことになります。これは、6月ごろから各都道府県の県庁や試験の実施団体、市町村役場、社会福祉協議会、医師会、看護士会、保健所などで配布されています。
受験の申し込みは、7月~8月頃に1ヶ月程度の期間内に郵送のみで受け付けています。
受験料は前払いで、専用の振込用紙により振り込みます。(コンビニ可)払込受領書は受験申込書に添付しますのでなくさないようにご注意を。
試験内容
ケアマネージャーの試験は、改訂介護支援専門員基本テキストの内容から出題されることが多いので必ず目を通しておく必要があります。このテキストは、全国の書店で入手可能です。発行元である財団法人長寿社会開発センターのホームページからも注文できます。また、試験に関連する各種情報も得られますので、機会があるごとに目を通しておくことをオススメします。
肝心の試験ですが、論文や実技試験はなく、ほとんどがマークシート方式(一部記述式もあり)なので、受験資格さえ満たしていれば比較的受けやすい試験であるともいえます。 問題は全60問で、介護支援分野から25題、保健医療から基礎が15題・総合が5題、福祉サービス分野から15題出題されます。
試験概要
■名 称:介護支援専門員実務研修受講試験
■試験月:年1回、通常は10月の日曜日に実施
■試験形態:会場試験
■試験内容:学科(マークシート方式)60問
■合格基準:ケアマネ試験合格の為には、「介護支援分野」「保険医療福祉分野」すべてが、合格基準を上回らなければいけません。
■合格率:19.1%(平成26年度)