介護保険制度の問題点

介護保険制度は、従来の老人福祉制度と老人保健制度の両制度を再編成し、国民の共同連帯負担の理念に基づいて、給付と負担の関係が明確な社会保険方式とし、2000年よりスタートしました。
この制度は、介護を必要とする人に、その有する能力に応じて自立した生活が可能となるよう、在宅・施設の両面にわたって必要な福祉サービス、医療サービスなどの提供を目的としています。しかし、介護保険制度がスタートしてから今日までに、制度の利用者が大幅に増え、国民の間に浸透してきたとはいえ多くの問題点も抱えています。

介護保険は2006年に改訂されました。急増する介護保険給付金の財政的な補完…というより抑制を行うためになされたものたそうです。ここで行われた改訂の要点は、「介護予防サービスの導入」と「介護施設での食費、居住費の自己負担化」の2点となっています。たいそう立派な制度名称が付けられていますが、利用者側から見れば「単なる負担増」にしか見えないでしょう。

まず、「介護予防サービス」ですが、この制度は、現状では施設入所するほどでもない(未だ施設に入所していない)介護者に、筋力力トレーニングなどを行い極力施設入所しなくてすむようにする(というより入所させない)ための制度とも言えます。制度設計の本音は介護施設の入居者を減らし、介護保険の給付額を抑えるためだろうと指摘されても反論できないのではないでしょうか。←厚労省
もう一点、介護施設の入居者には、食費・光熱費などを負担させるように改訂されました。言うまでもなく、これも介護保険の給付額を抑え、財政を改善するためと言えます。財政の改善のために、65歳以上の介護保険料をあげていきながら、要介護者にも経済的負担を押し付けているわけです。「お金なければ介護無し」という状況に陥りかけいているのではないでしょうか。
私自身、介護保険が始まったとき「数年で財政破綻するだろうな」と予感したものです。特に行政に詳しいわけではない全くの素人ですが、健康保険や国民年金の惨状を見るに付け、バラ色の制度になるだろうとはとても思えなかったのです。悲しいかな、予感はあたりつつあるようです。国家財政の逼迫とともに、今後もさらなる介護保険料の値上げと適用範囲の拡大(20歳以上を介護保険に加入させようという意見もあるようですね。)、介護に対する自己負担分の増大が行われていくでしょう。

安心して介護を受けたいですね。

介護保険制度は、財政的な問題とともに、その制度をになっていくための人的な問題(介護士の不足など)、さらに、介護認定に関する問題、介護施設の問題などなど、難問が山積しているようです。
これらを解決するしていくには、日本の社会が抱える構造的な問題として、社会福祉の観点から考えていかなければ解決の見込みはないでしょう。

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