ピック病
ピック病とは、原因不明の大脳萎縮性疾患で、65歳以下に発症する若年性認知症のひとつです。精神医学者のアーノルド・ピック氏が発見したことからこう命名されました。
ピック病の患者数はは、アルツハイマー病と比べた場合1/3~1/10程度(国内の患者数は約1万人)といわれています。
平均発症年齢は49才となっており、働き盛りを襲う病でもあります。また、性別による患者数の差はほとんどないと言われています。患者数が少なめなのは、ピック病の発症が分かりにくいこともあったため、うつ病や統合失調症と誤診されているケースも多く実態はこれよりも遥かに多いだろうと言われています。今後、この病気が一般に認知され始めると患者数はより増えてくると考えられています。
ピック病の特徴
ピック病は、発症の原因さえハッキリとはしていない病気であることからもわかるとおり、明確な診断基準も定まっていないのが現状のようです。当然ながら、社会的な認知度も非常に低く、なかなか病気であることを周囲に理解してもらえないというのが実情です。
分別盛りと思われる大人が万引きをし、捕まったことをきっかけにピック病が見つかるなどの悲劇も珍しくはないと言われます。ピック病の症状としての反社会的な行動とされるべきものが、「万引きをした=反社会的行動をした」という事実だけを重視され、患者から仕事と信頼を奪ってしまうのです。病気に理解のない世間の対応や、医師の誤診による、患者や患者をとりまく家族の精神的苦痛は耐え難いものでしょう。このような無理解が生む悲しい事態を防ぐためにも、診断基準の早期確立と病名周知が急がれています。
ピック病の特徴は、この知名度の低さと社会的な無理解にあると言っても差し支えないでしょう。
ピック病の原因
残難ながら、どのようにしてこの病気になるのか、ハッキリとした原因は解明されていません。ただし、各種の研究により、この病気にはいくつかのタイプがあることがわかってきています。
一つはピック球という異常構造物が神経細胞の中にたまるタイプです。
また近年発見されたものとして、TDP-43というタンパクがたまるタイプがあります。このようにいくつか異なる原因があると考えられていますので、最近ではピック病という病名はピック球がみられるタイプに限って使う傾向になりつつあります。
ピック病の症状
アルツハイマー病は初期症状として、記銘力・記憶力低下などの知的機能低下が現れますが、ピック病では、人格変化、情緒障害などが初発症状である。
主な症状としては、滞続言語(会話の内容とは無関係に、同じ話を繰り返す)、自制力低下(粗暴、短絡、相手の話は聞かずに一方的にしゃべる)、感情鈍麻、異常行動(浪費、過食・異食、何でも口に入れる、収集、窃盗、徘徊、他人の家に勝手にあがる)などがあり、人格は変わり(無欲・無関心)、人格変化(無欲・無関心)が表れます。
ピック病の初期では、記憶・見当識・計算力は保たれていおり、それら知的機能低下が初発症状に現れるアルツハイマー病と異なるところです。
ピック病とアルツハイマー病との違い
| アルツハイマー病 | ピック病 | |
| 発症年齢 | 52才 | 49才 |
| 患者数 | 1 | 0.3~0.7 |
| 病気部位 | 脳の後頭葉や頭頂が侵される | 脳の前頭葉や側頭葉に萎縮が起きる |
| 症状 | 記憶の障害(昼食を摂ったことを忘れるなど) | 行動の障害(同じことを同じ時間に繰り返すなど) |
| 性差 | 女性にやや多い | ほとんど差はない |
ピック病の治療
現在の所、確立された治療法はなく、薬物による対症療法や介護が中心になることが多いようです。
ピック病の介護
ピック病患者は、他の認知症患者と比較して若い患者さんが多く、体力もあり力も強いため介護か困難とされ、それを理由に受け入れを拒否する施設が多いのが実情です。これは施設の責任だと言うだけですむ事柄ではなく、国や自治体は高齢者だけではなく、若年認知症も視野に入れた支援やケアの在り方を考えていくべきでしょう。(あまり期待はできないでしょうけど…)
